受益者指定権は、信託行為においては特定の者を受益者に指定せず、事後的に一定の者(指定権者とも言います。)において受益者を指定する権利です。
受益者指定権は、信託行為時には受益者が信託財産の利益を享受するのにふさわしいか判断が難しい場合などに利用される事が考えられます。
例えば、委託者が信託行為時に委託者兼受益者となり、自分の死亡時に複数いる子や孫のいずれかを自分の死亡後の受益者としたいが、現時点ではその判断が難しく、また、委託者の死亡時には判断能力低下などにより、委託者において受益者を決定する事が難しいというケースが想定されます。
このような場合に、その受益者となる人については受託者や第三者に3親等内の直系卑属に限定した受益者指定権を与え、委託者死亡時に信託財産の受益者にふさわしい人を受益者に選んでもらうという事ができます。