質問
妻に先立たれ、子供たちと離れて持ち家に1人で住んでいます。
将来的に認知症などにより判断能力が低下してきたら施設に居を移し、自宅を処分して生活費に充て、自分の死後は子供たちで平等に分けてもらいたいのですが。
回答
父親を受益者とし、子の一人を受託者として、信託契約を締結します。
受託者の子には不動産の売却権限を付け、信託期間は父親が死亡するまでとし、残余財産の帰属先は子全員とし、割合は平等とします。
これにより、将来的に判断能力が低下した際には、受託者の子一人の判断で不動産を売却する事ができ、父親の死亡時には信託が終了し平等に分ける事ができます。
なお、信託契約を締結しなかった場合、後見人を選任することになります。
後見人を選任する場合、子の一人が後見人となるにあたり法定相続人である子の同意を得る必要があり、また、居住用財産の処分について裁判所の許可を得る、毎年財産状況について報告が必要である、後見監督人が選任された場合監督人に対する報酬が発生する場合がある等、煩雑な手続きが付きまとうことになります。
また、父親死亡時の財産については、死亡後に改めて子全員(子が死亡している場合は孫)で協議することになります。
また、死亡時の財産の分け方については、遺言で指定することも可能ですが、信託契約委託者と受託者の契約であるのに対し、遺言は父親の単独行為であるため、何度も書き換える事が可能であるため、不安定と言わざるを言えません。