前回に引き続き、受託者の責任と義務について、今回は忠実義務です。
忠実義務とは、受託者は受益者の利益のために、忠実に信託を受けた財産を管理処分等の信託事務を行わなければならないことを意味します。
忠実義務で問題となるケースの一つとして、利益相反行為があります。
例えば、信託を受けた財産の売却に際して、受託者自身が買い取るというような場合、委託者と受託者の利益が競合、相反する事になり、忠実義務に反する事になるため、禁止されています。
なお、原則的に利益相反行為は信託法により、禁止されていますが、家族信託においては任意規定として、当事者の合意があれば利益相反行為も許容されます。