家族信託は節税対策にはなりませんが、相続トラブルを避けるための相続対策としては大変有効です。
一方で、通常の相続や贈与とは異なるため、どんな税金がかかり、誰が納税者になるのか分かりにくいという点があります。
税制は「実体主義」「受益者負担」が原則となっています。
契約の内容の如何にかかわらず、実際に利益を受ける者に対して、それぞれの税金が課税されます。
家族信託では、委託された信託財産の名義人は受託者になりますが、実際に利益を受ける者は受益者ですので、各種の税金は受益者に対してかかる形になります。
それぞれの立場にかかる税金はとしまして、受託者は信託財産の管理を請け負っているだけで実質的な所有権は持っていませんので、基本的には課税されることはありません。
ただし、信託財産が不動産の場合、登録免許税と固定資産税の税金だけかかります。
受益者の場合、『委託者=受益者』『委託者≠受益者』2パターンが考えられます。
『委託者=受益者』の場合、委託者と受益者が同一人物で実体として財産の移転等が行われないため、贈与税や不動産所得税が課税される余地はなく、受益者として納税する税金はありません。
『委託者≠受益者』の場合、信託財産の実際の所有権は「受益者」に移るため、みなし贈与、みなし相続等、様々な税金が課されます。